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和歌

●花咲きて
2007.4.5

咲く花のその生命を削るという開花労い花殻を摘む

2006.10

星砂の庭に咲くべく秋の夜の嵐に散りし金木犀花

花は散ってどこへゆくのだろう。地面にまあるく落ちていた金木犀の花びら。
植物は、開花するのに大変なエネルギーを使うので、きちんと花殻を摘んでやらないと植物自体が枯れる程に疲弊してしまうんだとか。

●半年記念日
2006.12.24

清し夜君待ちながら気づいたよこの日は一生半年記念日

結婚記念日が6月24日ということですね・・・。

●愛のうた恋のうた
2005.12

長旅の帰りの電車君が降り一駅ごとに寒さはつのる

ハクレンが咲いたらと言った一つ前の恋をなぜだかふと思い出し

思い出になんて言わないでと言ったあの人がもう遠い思い出


桜の葉色づいてゆく見納めのふるさとの秋はオレンジ黄色

生い立ちし枯れ草の道懐かしみ君と踏みつつ秋に別れぬ

過去の言葉が私を縛る苦しさを星屑のように君は砕くね

傘ひとつ遠き思い出浮かぶままぽつりぽつりと君に語りき


無理だってわかっていても言ってみるおやすみ代わりの「また明日!(アスタマニャーナ)」

幾重にも折って重ねて折り紙の薔薇指先に力を込めて

少女のすべてふわふわ埋まるまどろみのまつげの先に夢はとろけて

吾が目のささやきに君 惹かれてる じっと黙って何も言わない


ゆきさきも知らず二人で歩み出す ただ足下は一つ灯りに


冬さんの短歌冊子第二弾に投稿した作品です。
結婚する半年前くらいに作った歌が多いです。いろいろな情景を思い出してなんだかおもしろいです。


●北陸
2005.8

輪島路を吹く潮風に木の間より黒く光りし人里の屋根

つき出たる小さき巌に一羽ずつ海鵜のとまる能登の浜磯

珠洲の海の岩肌白き見附島潮引く道に青海松濡れて

黒々と軒突きあわす恋路浜いづこの里も夏は来て行く


那谷寺(なたでら)の白岩青く苔むして生きるものみな美しくかなし

越前の川上乙女が白魚の手にて漉きたる強き紙かな




あっちの方の家の屋根はどういうわけか皆一様に黒い瓦葺きでした。
輪島塗を思わせました。
また、日本海の海岸は、浜であっても岩がごつごつ突きだしていました。


●白いうた
2005.1

オレンジのスカート朝の雑踏を駆け抜けてゆく駅の花神(フローラ)

履きなれし革靴の下 踏み切りの音のそこもとに揺れる蓼花

言い惜しむのは迷いなのか今という時見つからず夏は深まり

胸に落ちし痛みは果てずなお果てずその底深く流す涙も

真っ白な第一ページに鉛筆の跡付けかけて必死に消した

夜が更ける苛立ち何も見つからぬと知りつつ起きている 夜が更ける

肌身には痛き潮か白砂を噛む貝となる眠れその子よ

月に日にくるくる巡る緑青のくすんだ指輪まだ指にある

来たならばまたゆくだろう。この冬が終われば春が来ると知ってた

まっ白な世界を埋めるひとことを記憶かすれるまでさがしていたい



これは私が初めて同人誌のような(と言っても100%主催者の方が、編集から装丁から製本までなにもかも作ってくださったもの)ものに参加した時に作った歌です。日常でやるせなく感じたとき、それぞれの歌が生まれ、それは大抵白っぽい色彩をしていました。だから「白いうた」です。
こんなに自分の歌に真面目に取り組んだのは初めてだったりして・・・。冬さん本当にありがとうございました。


●出会って一年
2004.4.8

この人、であるわけも知らずにまた春を
通り過ぎてた
出会って一年


●冷たき陶器
2004.3.15
小振り袖紺袴してうつむける
本の栞をなびかせし風

紐をかみちぎろうとする洋犬の主は何処に
花は散りけり

白すぎて怖いわまぶた刺す光うぶ毛残してハクレンは咲く


2004.3.5
冷たき陶器に
注ぐ湯の波
手に熱くとも
恋よ冷めるな



熱き涙と分かたぬみぞれ
ぼたん雪のつまさきに降る
別れ来し街


●かわいいと思う
2004.1.18
かわいいと思うと言われ
年下の君なのにもう
いばれなくなる

こんな風に
いつも小さく
丸まった。
でも君にはつい
手を伸ばしてる

2004.1.3
留めんや
離れがたきを手離して
疾く行かそうか遠き家路を

ふり初めてふりやまじ雪
夜をかけて君ふるさとへひとりゆくらむ


●新しい恋をしてもいいですか
2003.11.24
一緒にと 言われて涙ぐんでしまった
そんな言葉に飢えていたのか


今知った有りえないとも思ってた こんなに君を求めていたと


2003.11.23
忘れられるはずなかったね
まだ少し
友達になる勇気は無い




●吉祥寺の空は
2003.8.4
愛されていたとほんとはわかってる
透きとおってく
幼き夏よ


2003.8.2
愛してたんだと
気づいて涙ひとしれず
ただそれだけのことなのだけど


2003.8.1
新宿の夜に二人で仰ぐ空
ミルク色した不安と安心


2003.7.29
きらわれてるような気がする
振ったのは私じゃなくて
やっぱりあなた


2003.7.28
吉祥寺の空はあおいよ
荷物かかえてみちばたに見た
濃く深いあお


2003.7.25
幾重にもかさねし言葉何処に秘め
伝わりはせぬ心だけれど



●なんとなく愛してる
2003.7.28
空欄だった
心の一番近い場所
今、君がいる。
それが解答


2003.7.9
すれちがう傘の向こうに舞い上がる
ほんのかすかに見えた幸せ


じわじわと抱かれた肩が痛くって
思わず好きと言った其の夜




●何も言えない恋のうた
2003.7.4
別の道行くことにして
最後に すきとおって
こぼれた
わたしの涙

2003.7.1
「もう好きじゃないと思う」と言い放つ
ことばは誰のために苦しい

2003.6.24
悲しいことしか思い出せない
弱すぎて何も言えないこの恋の歌


引き留める言葉を何度読み返し
揺れながらも今、戻れない


2003.5
垣間見に 一度振り返りし君の背を見れば追いたくなりにけるかな

ほんとに不思議な程に何も言えない事が多かったけれど、愛してたと思う。そして仮にやりなおすとしてもまた同じように終わってしまったと思う。



●すきとおったら
2002.1.9
散り残る 枯葉を湿す 朝の陰
陽炎燃ゆる 春ひそむらん

あたたかき窓のほこりも
外の風を知らず眠れる
午後の陽射しに

輝きが 葉裏を透かす 学び舎の
煉瓦静けき 冬の朝の日

自らの 組む指先が
包まれるように愛しく
しばし重ねる

風花の
冷たき肩に 舞い寄せば
冬日に透けて 肌にとけこむ

2002.1.10
かなしさといとしさの合間にある涙
透明な心に 慣れないでいる


波よ波打ち寄せる波
対岸の想いを乗せてたえず打ち寄せ


耳元の音奪う風に 向かいゆく
頼りとはただ 君の呼ぶ声

日に焦がれ焼け消ゆる如欠ける月
君を思へば昼も夜もなく


あたたかき光の色の白さまで
すきとおったら君に会えるか

夜空から飛び降りて来て
オリオンを
夜ごと虚しく仰ぐのは嫌

春を待つ並木通りの寒空に
すっと立ち居る君を見しかな

2002.1.11
窓の外行き交う声に加はらず
街角のカフェに想ひ続ける


ひとりある
窓越して差す 冬の陽に
素足を晒し 癒す寂しさ

2002.1.14
広すぎる 紺色の空
ひとり迷うような気がして
君の名を呼ぶ
以上は、数名で行ったまほろば歌の会(BBS上)の時の歌であり、前の歌との掛け合いがあったりするので、単独で見るとわかりにくいかもしれない。また、物語のような、装飾性の有る歌。



●わたしは此処と
2001.9.20

面影を 空に辿りて 行けど行けど
星は眠りぬ 風の波間に

秋浅き 里にも北の 風吹けば
さやかに見つる 赤き楓葉

山の上の 入り日に染めし あきあかね
やがて降り来む 君がもとへと

2001.9.22
言葉には ならぬ思いも そのままに
誓ともせん 川面吹く風

やすらかな 床出でて来し 朝の駅
寒さも愛しき 君のくちづけ

2001.9.29
北風を 乗せて愛しき 渡り鳥
とく見つけてよ 汝が住処を

秋深く 夜も更けゆけば 我が心
高まりてゆく 鈴虫の声

そよ風を 送りしものを
吹き返す 北風強き 台風となって・・・

晴れ渡る 空のあいだに 一筋の
雲もなきほど 思うのは君

朝の陽の ように この身を 抱きしめる
君を想えば 風あたたかく

2001.10.4

秋深く
深く暖かな 懐に
抱かれていたい
木の実散る音

降り止まぬ 静かな雨よ
君のこと しとしと想う やまぬ想いよ

底深き 川の流れの とめどなく
あふれるまでの 恋となりなむ

触れられぬ ことの切なさ
ぬくもりと 想いを抱いて
君といる日々

並木道 日陰日向に 君感じ
銀杏の実の 美しき朝

黄金の葉 君振り向かす 銀杏に
風吹かせたい わたしは此処と

秋風に 吹かれる花の 揺れ揺れて
折れることなし 強き守りに

秋の花 げに儚くも
知るや君
君を求むる つよき想いを


独り居の 夜の果てに向け 名を呼べば
君は来にけり 我を包みに

名月の 冴え渡る空 夜に震え
ただ君の手の 熱さが欲しい

秋風の 吹き過ぎる空
君に寄す 想いは燃えて 心震えん

花すすき たたずみて見る 君の目を
思えば風に 溶けて舞いたく

言葉では 尽くせぬ想い だきかかえ
伝え尽くせぬ 君との時よ

寒き夜も 夜更けの風の 冷たさも
忘れるほどに 強く抱いてよ

夜も昼も 寄り添っている
いとしさや せつなさすべて
君だけのため

心には 騒ぐ雨音 降りそそぎ
いつかと言わず 今すぐがいい

見ていたい ただ見て欲しい 一心で
君を求めて 時も忘れる

夢うつつ 夜明けの影の ただよえば
朝に手を延べ また君に寄る

君の手が 包む強さよ
朝の声 気付かずいたい
離さずにいて

手に触れて この指先に 想い込め
君の心に 溶けていきたい

寄りかかる 頬に触れる手 君の指の
髪にからんで 染みる熱さよ

髪の毛の 数ほど想う
この心 壊れるほどに
君に触れたい

北風を 両手に抱く 寒ささえ
待ちわびている 君と会う日よ

どんな日も 笑顔でいよう いつだって
心のそばに 君はいるから

寒き夜に 知るぬくもりを 手放せず
眠りの狭間 君に溶け入る

静かなる 朝の光に 君がいて
心に紅く ゆれるもみじ葉

今やっと 心を決めて 時を待つ
嬉しさと待つことの辛さを

いつまでも 消えぬ確かな ぬくもりを
 擁きてたえず 君を想うよ

季節ごと 吹きあれる風
気がつけば
君想う心 ますます深く

冷え切った 頬に降り来し ぬくもりの
君が恋しき 秋雨の朝

硝子越し 紅葉色なる まなざしの
君の腕に 懐かれる午後

ともにいる春を重ねん幾たびも
君が心に 添い続けん

2001.12.26
わが窓を 迷わず照らし 降りきたる
聖夜の星の 如き君かな

天の星 繋げる橋を たどりゆき
君と出逢わん 白鳥座あたり

かささぎの 橋にふたたび逢ふ時は
いつか白鳥なく高松で

2002.1.1
思いては うつくしからむ 雪も花も
君共に見る 何時のけしきも

2002.1.14
従妹の子の誕生

児の眠る ひたすらな呼吸 頬に聴き
ただに願わん 幸多かれと
この2001年から2002年にかけての秋と冬、これまでの人生の中で一番たくさん歌を作った時期だと思う。 当時の「まだ会わぬ恋人」との歌のやりとりなので、私の歌だけ載せてもよくわからないものもあると思うけれど、一応ほとんど全ての自作の歌をピックアップしてみた。 非現実的な日常だけれど、当時私はこんなに感情的だったのか、それとも文字にすると実際より大げさになっていたのか。
いずれにしろ、私は当時の自分の気持ちを思い出すことができない。

先に対する不安のようなものが見られる。



●大好き
いくらでも 何度も言って 「大好き」と 何度も気付く あなたが大好き
(2001.9.26)

唯一の ことばの中に 言い尽くせぬ すべてを込めて 「大好き」としか・・・
(2001.9.27)
2001年まほろば歌会(BBS上での歌会)。お題「大好き」



●手の熱き
月影の こずえを渡る 風にのせ 君に降り落つ 雫とならむ

道に吹く秋風肌の冷たさに 思うのはその手の熱きこと
(2001.9.14)



●あいたさ
行き先を 告げるまぶしさ 真向かいの 電車に乗れば あの人がいる

人を思い あてなく続く 階段を 夜風に染みて 駆け降りてゆく

君に一目 あうことだけを 思う道 その意味さえも 知らぬ会いたさ
2001年2月
文芸サイトに投稿。題「会いたい」。わけわからないですが現代短歌作り始めの頃の記念として。一首目の「行き先を告げる」というのは、電車に表示されてる「どこどこ行き」の字のこと。


なのりのオリジナル作品です。

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